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ベンチャー幹部採用の壁 | 大手出身者が活躍できない理由と解決策

ベンチャー幹部採用の壁 | 大手出身者が活躍できない理由と解決策

目次

「大手企業で実績を出してきた人材を採用したのに、うちでは全然活躍してくれない」——そんな経験をされたベンチャー経営者の方は、少なくないのではないでしょうか。

大企業からスタートアップ・ベンチャーへの転職件数は、過去3年で約7.1倍に増加しています。ベンチャー転職全体に占める割合も、**約8%から21.4%**へと大きく上昇しました。

出典:J-CAST

大手出身の優秀な人材がベンチャーに流入する流れは加速しています。しかし、採用した幹部が期待通りに活躍するとは限りません。本記事では、ベンチャー幹部採用の難しさと、その解決の糸口をお伝えします。

ベンチャーの幹部採用、なぜこれほど難しいのか

ベンチャー企業にとって、幹部採用は会社の命運を左右する重要な意思決定です。しかし、その難しさを痛感している経営者の方も多いのではないでしょうか。

求める人材像が複雑になりがち

ベンチャーの幹部には、専門スキルだけでなく、多岐にわたる業務への対応力、不確実性への耐性、スピード感のある意思決定など、複合的な能力が求められます。大企業であれば分業されている業務を、一人で担うことも珍しくありません。

こうした要件をすべて満たす人材を見つけることは、容易ではありません。

採用に割けるリソースが限られている

大企業のように採用専門のチームを持てないベンチャーでは、経営者自身が採用活動に時間を割く必要があります。しかし、事業運営との両立は簡単ではなく、採用活動が後回しになってしまうこともあるでしょう。

カルチャーフィットの見極めが難しい

スキルや経験は職務経歴書で確認できても、ベンチャーの文化に馴染めるかどうかは、面接だけでは判断しにくい部分です。入社後に「こんなはずではなかった」というミスマッチが発覚するケースは、残念ながら少なくありません。

大手出身の幹部が「期待外れ」になる理由

華々しい経歴を持つ大手出身者を採用したのに、期待通りに活躍してくれない。この状況には、いくつかの構造的な理由があります。

意思決定プロセスの違いに戸惑う

大企業では、意思決定に複数の承認プロセスを経ることが一般的です。一方、ベンチャーでは「自分で決めて、自分で動く」ことが求められます。

この違いに適応できず、「判断を仰ぐ相手がいない」「決裁ルートが分からない」と戸惑ってしまう方がいます。指示を待つ姿勢が染みついていると、ベンチャーのスピード感についていけないことがあります。

リソースの違いを受け入れられない

大企業では当たり前だった予算、人員、ツール、ブランド力——これらがベンチャーにはありません。「前職ではこうだった」という基準で物事を考えてしまうと、「ここでは何もできない」という思考に陥りがちです。

限られたリソースの中で創意工夫する姿勢がなければ、ベンチャーで成果を出すことは難しいでしょう。

「管理」から「実行」への切り替えができない

大企業の管理職は、部下に指示を出し、進捗を管理することが主な役割であることが多いです。しかし、ベンチャーの幹部は、自ら手を動かすことも求められます。

「私はマネジメントが仕事です」という姿勢では、少人数で戦うベンチャーでは機能しません。プレイングマネージャーとしての覚悟があるかどうかは、採用時に確認すべき重要なポイントです。

ベンチャー幹部採用で見極めるべきポイント

では、ベンチャーで活躍できる幹部を見極めるために、何を確認すべきでしょうか。

「なぜベンチャーなのか」を深掘りする

幹部候補者がベンチャーを選ぶ理由として、「社会課題解決への関心」「テクノロジー活用」「意思決定の裁量」を挙げるケースが多いとされています。

出典:コトラ

こうした動機が本物かどうか、表面的な言葉ではなく、具体的なエピソードを通じて確認しましょう。「大企業に疲れた」「新しいことをやりたい」といった漠然とした理由だけでは、入社後の困難に耐えられない可能性があります。

不確実性への対応力を確認する

ベンチャーでは、計画通りに物事が進まないことが日常です。過去に予期せぬ困難に直面したとき、どのように対処したかを聞いてみてください。

正解のない状況で自ら考え、行動できる人材かどうか。この点は、経歴以上に重要な見極めポイントです。

「手を動かす覚悟」を確認する

戦略を考えるだけでなく、自ら実行に移せるかどうか。特に初期フェーズのベンチャーでは、幹部であっても現場の最前線に立つことが求められます。

「マネジメントだけやりたい」という姿勢が見える場合は、たとえ経歴が立派でも、自社には合わない可能性があります。

カルチャーフィットを多角的に確認する

面接だけでなく、創業メンバーとのカジュアルな食事会、オフィスでの半日体験など、候補者が組織の雰囲気を感じられる機会を設けることが効果的です。

候補者自身にも「自分に合うかどうか」を判断してもらうことで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

幹部が定着する組織づくりのために

採用して終わりではありません。幹部が定着し、活躍できる環境を整えることも、経営者の重要な役割です。

期待値を明確に伝える

「何を期待しているのか」「いつまでにどんな成果を出してほしいのか」を、入社前に具体的に伝えましょう。曖昧なまま入社すると、お互いの期待にズレが生じ、不満や不信感につながります。

入社後も定期的に期待値をすり合わせ、必要に応じて調整していくことが大切です。

裁量と責任を明確にする

幹部として採用したのであれば、相応の裁量を与えることが必要です。細かく口を出しすぎると、「任されていない」という不満が生まれます。

一方で、裁量には責任が伴います。どこまでが任せる範囲で、どこからは相談が必要なのか。このラインを明確にしておくことで、スムーズな意思決定が可能になります。

孤立させない

外部から入った幹部は、社内に相談相手がいない状態からスタートします。特にベンチャーでは、既存メンバーとの関係構築が成果に直結します。

経営者自身が定期的に1on1の時間を設ける、創業メンバーとの橋渡しをするなど、孤立させない工夫が必要です。

成長フェーズに合わせた役割の変化を伝える

ベンチャーは急速に変化します。今の役割が、半年後、1年後も同じとは限りません。組織の成長に伴って役割が変わる可能性があることを、事前に伝えておくことで、変化への心構えができます。

まとめ

ベンチャー幹部採用について、ポイントを整理します。

  • ベンチャー幹部採用が難しいのは、求める要件の複雑さ、リソース不足、カルチャーフィットの見極めが原因
  • 大手出身者が期待外れになる理由は、意思決定プロセスの違い、リソースギャップ、実行への切り替えにある
  • 見極めるべきは、ベンチャーを選ぶ本気度、不確実性への対応力、手を動かす覚悟、カルチャーフィット
  • 定着のためには、期待値の明確化、裁量と責任の付与、孤立させない配慮が重要

ベンチャーの幹部採用は、経歴だけで判断できるものではありません。自社のフェーズや文化に合う人材かどうかを、丁寧に見極めることが成功への近道です。

候補者の志向や選考状況を可視化することで、より精度の高いマッチングが実現できます。

記事監修者:渡辺 貴明

メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。メルセネール株式会社では事業責任者を務める。

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