「管理職採用がなかなかうまくいかない」「採用できても、期待通りに活躍してくれない」そんな悩みを抱えていらっしゃる方は、決して少なくないのではないでしょうか?
中途採用で管理職(課長・部長クラス)を採用した企業は49.6%にのぼり、2021年の38.9%から10.7ポイント増加しています。多くの企業が管理職の外部採用に取り組んでいる一方で、その難しさを実感している声も多く聞かれます。
管理職採用が難しいと感じるとき、その原因はどこにあるのでしょうか。本記事では、採用がうまくいかない理由を紐解きながら、見直すべきポイントと解決の糸口をお伝えします。
管理職採用の難しさ、どこに原因があるのか
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管理職採用が難しいと感じる背景には、いくつかの構造的な要因があります。
市場の競争が激化している
転職コンサルタントの**72%**が「ミドル人材の求人は増加」と回答しており、管理職クラスの獲得競争は年々厳しくなっています。優秀な人材ほど複数の企業からオファーを受けており、自社を選んでもらうためのハードルは上がっています。
出典:エン・ジャパン
求める要件が高くなりやすい
管理職ポジションは、専門スキルに加えてマネジメント能力、リーダーシップ、組織への適応力など、求める要件が多岐にわたります。すべてを満たす人材を探そうとすると、候補者の母数が極端に絞られてしまいます。
採用の判断が難しい
一般職と比較して、管理職は「入社してみないと分からない」部分が多いポジションです。面接だけでマネジメント能力や組織との相性を見極めることは、簡単ではありません。
こうした難しさがある中で、どのように採用を進めていけばよいのでしょうか。
採用がうまくいかない企業に共通するパターン
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管理職採用に苦戦している企業には、いくつかの共通するパターンが見られます。もしかすると、心当たりのある点があるかもしれません。
「経験年数」で候補者を絞りすぎている
「管理職経験5年以上」「部下10名以上のマネジメント経験」——こうした条件を設定していないでしょうか。もちろん経験は重要ですが、年数や人数だけでは、その人のマネジメントの質は分かりません。
条件を厳しくしすぎると、本来活躍できる可能性のある人材を見逃してしまうこともあります。
採用後のミスマッチが繰り返されている
管理職の中途採用に「満足している」企業は**69.9%**と、約7割が一定の手応えを感じています。しかし裏を返せば、約3割の企業は何らかの不満を抱えているということです。
不満の理由として、「期待したスキル不足」「前職のやり方に固執し柔軟性が低い」といった点が挙げられています。採用時の見極めと、入社後の期待値のすり合わせに課題があるケースが多いようです。
管理職を取り巻く環境の変化を考慮していない
今、管理職の仕事は以前よりも複雑になっています。管理職の業務課題として、「働き方改革対応」が52.0%、「ハラスメント対応」が42.7%、「コンプライアンス対応」が**38.7%**と報告されています。
出典:パーソル総合研究所
こうした環境変化を踏まえずに、従来の管理職像を求めていると、候補者とのミスマッチが生じやすくなります。
管理職採用を成功させるために見直したい視点
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管理職採用の難しさを乗り越えるために、いくつかの視点を見直してみてはいかがでしょうか。
「必須条件」と「あれば望ましい条件」を整理する
求める要件をすべて満たす人材は、なかなか見つかりません。本当に譲れない条件は何か、入社後に身につけてもらえる要素は何かを整理することで、候補者の幅が広がります。
管理職を中途採用した理由として、「マネジメント経験が豊富」が33.0%、「管理職層の多様性強化」が**32.0%**となっています。経験だけでなく、多様な視点を取り入れたいというニーズも高まっています。
組織文化との相性を重視する
スキルや経験以上に、組織文化との相性は定着率に大きく影響します。面接では、候補者がどのような組織で働いてきたのか、どんなマネジメントスタイルを持っているのかを丁寧に確認しましょう。
自社の文化や意思決定のスタイルを率直に伝え、候補者自身にも「自分に合うかどうか」を判断してもらうことが大切です。
選考プロセスを見直す
管理職採用では、人事だけでなく、配属先の上司や同僚となる管理職、場合によっては部下候補も選考に関わることが効果的です。複数の視点で評価することで、組織への適合性をより正確に判断できます。
また、面接だけでなく、カジュアルな面談やオフィス見学など、候補者が組織の雰囲気を感じられる機会を設けることも有効です。
採用の「その先」まで考えることの大切さ
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管理職採用は、「採用して終わり」ではありません。入社後に活躍してもらうためのサポートまで含めて考えることが、採用の成功につながります。
入社後の立ち上がりを支援する
外部から入った管理職は、社内の人間関係も、業務プロセスも、暗黙のルールも、すべてゼロから把握する必要があります。「管理職だから大丈夫」と放置せず、最初の数か月間は意識的にサポートすることが重要です。
キーパーソンとの顔合わせの機会を設ける、相談できる先輩管理職をつける、定期的に状況を確認する——こうした取り組みが、定着率を高めます。
期待値を明確に伝え、すり合わせる
入社前に伝えた期待と、入社後の現実にギャップがあると、早期離職につながります。「何を期待しているのか」「いつまでにどんな成果を出してほしいのか」を具体的に伝え、入社後も定期的にすり合わせることが大切です。
長期的な視点で評価する
管理職が新しい環境で成果を出すには、時間がかかります。入社直後から高い成果を求めすぎると、本来の力を発揮する前に離職してしまうことがあります。
最初の90日間は「適応期間」と位置づけ、成果よりも組織への馴染み具合や、チームとの関係構築を重視する姿勢も必要ではないでしょうか。
転職コンサルタントの**79%**が「ミドル人材は転職に適した市場」と回答しているように、管理職採用のチャンスは広がっています。難しさを感じているからこそ、採用プロセスを見直し、より良いマッチングを実現するきっかけにしていただければと思います。
出典:エン・ジャパン
まとめ
管理職採用の難しさと解決の糸口について、ポイントを整理します。
- 管理職採用が難しい背景には、市場競争の激化、要件の複雑さ、判断の難しさがある
- うまくいかない企業には、条件の絞りすぎ、ミスマッチの繰り返し、環境変化への考慮不足といった共通パターンがある
- 成功のためには、必須条件の整理、組織文化との相性重視、選考プロセスの見直しが有効
- 採用の「その先」まで考え、入社後のサポートと期待値のすり合わせを行うことが定着につながる
管理職採用の難しさは、多くの企業に共通する課題です。だからこそ、自社の採用プロセスを丁寧に見直すことで、他社との差別化にもつながります。
候補者の志向や選考状況を可視化することで、より精度の高いマッチングが実現できます。 メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。メルセネール株式会社では事業責任者を務める。記事監修者:渡辺 貴明
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