「課長クラスを採用したいけれど、なかなか良い人材が見つからない」「採用できても、現場でうまく機能しない」——ミドルマネジメント採用に関する悩みは、多くの企業で共通しているのではないでしょうか。
中途採用で管理職(課長・部長クラス)を採用した企業は49.6%にのぼり、2021年と比較すると約10ポイント以上増加しています。ミドルマネジメントの外部採用は、もはや特別なことではなくなっています。
出典:日本の人事部
しかし、採用が増えている一方で、「採用したけれど期待通りに活躍してくれない」という声も少なくありません。本記事では、ミドルマネジメント採用の難しさと、見落とされがちな視点についてお伝えします。
ミドルマネジメント採用で多くの企業が抱える悩み
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ミドルマネジメント採用を進める中で、どのような悩みを感じていらっしゃるでしょうか。多くの企業に共通する課題を整理してみます。
そもそも候補者が見つからない
日本企業の**約79.5%**が中途採用を行っている中、ミドルマネジメント層の獲得競争は激化しています。経験豊富で、自社の求める要件に合致する人材を見つけること自体が難しくなっています。
内部登用か外部採用か、判断に迷う
「社内にふさわしい人材がいない」と感じる一方で、「外部から採用しても馴染めないのでは」という不安もあるかもしれません。どちらを選ぶべきか、正解がないだけに悩ましい問題です。
管理職採用の理由として、「マネジメント経験豊富な人材が欲しい」が33.0%、「管理職層の多様性強化」が**32.0%**となっています。外部採用には、社内にない経験や視点を取り入れたいという期待があることが分かります。
出典:日本の人事部
採用しても定着しない
せっかく採用したミドルマネジメントが、早期に離職してしまう。この状況は、採用コストだけでなく、組織へのダメージも大きいものです。企業全体で見ると、早期離職(半年以内)が発生した企業は**57%**にのぼり、その主因の一つが「仕事内容のミスマッチ」とされています。
採用したミドルマネジメントが機能しない理由
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採用には成功したものの、現場で期待通りに機能しない。この状況には、いくつかの理由が考えられます。
前職のやり方をそのまま持ち込んでしまう
経験豊富なミドルマネジメントほど、前職で培ったやり方に自信を持っています。しかし、組織が変われば、最適なマネジメントスタイルも変わります。前職での成功体験に固執してしまうと、新しい環境で力を発揮できないことがあります。
上と下の板挟みに対応できない
ミドルマネジメントは、経営層と現場の間に立つ難しいポジションです。管理職の抱える課題として、「業務量増加」が52.5%、「部下育成ができない」が37.5%、「後任人材不在」が**56.2%**と報告されています。
出典:パーソル総合研究所
外部から入ったミドルマネジメントが、こうした構造的な難しさに対応できずに苦しむケースは少なくありません。採用時にこの点を十分に伝え、覚悟を確認しておく必要があります。
組織の文脈を理解するのに時間がかかる
社内の人間関係、意思決定のプロセス、暗黙のルール——これらを理解するには時間がかかります。特にミドルマネジメントは、多くのステークホルダーと連携する必要があるため、組織の文脈を把握することが成果に直結します。
「即戦力」として期待するあまり、この適応期間を十分に設けないと、本来の力を発揮する前に離職につながることもあります。
ミドルマネジメント採用で確認すべき3つの視点
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ミドルマネジメント採用を成功させるために、確認しておきたい視点を3つお伝えします。
1. マネジメント経験の「質」を見極める
「部下○名のマネジメント経験」という数字だけでは、その人のマネジメントスタイルは分かりません。どのような組織で、どんな課題に向き合い、どのようにチームを率いてきたのか。経験の「質」を掘り下げて確認することが大切です。
たとえば、成長フェーズの組織でチームを立ち上げた経験と、安定期の組織で既存チームを維持した経験では、求められる能力が異なります。自社の状況に合った経験を持っているかどうかを見極めましょう。
2. 組織文化との相性を確認する
どれだけ優秀な人材でも、組織文化に合わなければ力を発揮できません。トップダウン型の組織で育った人が、ボトムアップ型の組織に馴染めないケースは珍しくありません。
面接では、候補者がどのような組織文化の中で働いてきたのか、自社の文化との共通点や違いをどう捉えているのかを確認しましょう。カルチャーフィットは、定着率に大きく影響します。
3. 候補者のキャリア志向を把握する
なぜ転職を考えているのか、この先どのようなキャリアを歩みたいのか。候補者のキャリア志向が、自社のポジションと合致しているかを確認することが重要です。
短期的な条件面だけで入社を決めた人材は、より良い条件が現れれば離職するリスクがあります。長期的なキャリアビジョンと、自社で実現できることがマッチしているかを見極めましょう。
採用後の定着を左右するオンボーディングの重要性
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採用して終わりではありません。ミドルマネジメントが組織に馴染み、成果を出せるようになるまでのサポートが不可欠です。
最初の90日間を設計する
入社後90日間は、ミドルマネジメントの定着を左右する重要な期間です。この期間に何を達成してほしいのか、どのようなサポートを提供するのかを事前に設計しておきましょう。
特に、キーパーソンとの関係構築、組織の意思決定プロセスの理解、チームメンバーとの信頼関係づくりは、この期間で意識的に進める必要があります。
期待値を明確にすり合わせる
入社前に伝えた期待値と、入社後の現実にギャップがあると、不信感につながります。入社直後に改めて期待値をすり合わせ、3か月後、6か月後、1年後にどのような成果を期待しているのかを具体的に共有しましょう。
孤立させない仕組みをつくる
外部から入ったミドルマネジメントは、社内に相談相手がいない状態からスタートします。メンター制度や、他の管理職との定期的な情報交換の場を設けるなど、孤立させない仕組みが定着率向上に寄与します。
管理職の中途採用に「満足している」企業は**約69.9%**と、7割近くが一定の手応えを感じています。適切な採用とオンボーディングができれば、ミドルマネジメント採用は組織強化の有効な手段になり得るのです。
出典:日本の人事部
まとめ
ミドルマネジメント採用について、ポイントを整理します。
- ミドルマネジメント採用は増加傾向にあるが、候補者発掘、内部登用との判断、定着に課題を抱える企業が多い
- 採用しても機能しないのは、前職のやり方への固執、板挟みへの対応、組織文脈の理解不足が原因
- 採用時にはマネジメント経験の質、組織文化との相性、キャリア志向を確認する
- 採用後は最初の90日間の設計、期待値のすり合わせ、孤立させない仕組みが定着を左右する
ミドルマネジメント採用は、単に「経験者を連れてくる」だけでは成功しません。採用から定着まで、一貫した視点で取り組むことが求められます。
候補者の志向や選考状況を可視化することで、より精度の高いマッチングが実現できます。 メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。メルセネール株式会社では事業責任者を務める。記事監修者:渡辺 貴明
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