「経理経験10年以上」「決算業務の実務経験必須」——求人票に並ぶこうした条件を見て、自分の経験年数と照らし合わせていないでしょうか。
経理職への転職を考えるとき、多くの方は「経験年数が足りているか」を気にします。確かに、経験は重要な要素です。しかし、採用の現場では、経験年数だけで合否が決まるわけではありません。
経理・財務経験者の求人倍率は1倍超に上昇傾向にあり、2025年下半期も求人は増加が見込まれています。需要が高まっている今だからこそ、企業が本当に求めているものは何かを考えてみる価値があります。
出典:ジャスネットキャリア
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経理採用の現場で起きている変化に気づいているか
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経理という職種に対するイメージは、今も「正確にコツコツと数字を処理する仕事」というものが根強いかもしれません。しかし、採用の現場では、経理に求められる役割が変化しています。
定型業務の自動化が進んでいる
会計ソフトやRPAの導入により、仕訳入力や伝票処理といった定型業務は自動化が進んでいます。「この業務を何年やってきたか」よりも、「自動化された環境で何ができるか」が問われるようになっています。
経営への関与が求められている
経理部門に期待される役割が、「過去の数字を記録する」から「未来の意思決定を支える」へとシフトしています。予算策定、業績分析、経営層へのレポーティングなど、経営に近い業務ができる人材の需要が高まっています。
専門性の細分化が進んでいる
連結決算、税務、管理会計、IFRS対応など、経理の中でも専門領域が細分化しています。「経理経験○年」という括りではなく、どの領域でどんな経験を積んできたかが重視されるようになっています。
こうした変化を踏まえると、「経験年数」という指標だけで自分の市場価値を測ることの限界が見えてきます。
なぜ「経験豊富な経理」が不採用になるのか
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経験年数が長いのに、思うように採用されない。そんな状況に陥る経理経験者は少なくありません。なぜでしょうか。
経験が「深さ」ではなく「長さ」になっている
同じ会社で同じ業務を10年続けてきた場合、経験年数は10年でも、業務の幅は1年目とあまり変わらないということがあります。企業が求めているのは「何年やったか」ではなく「何ができるか」です。
経理管理職(課長以上)の平均年収は約871万円、メンバークラスは約643万円と、その差は200万円以上あります。この差は、単なる経験年数ではなく、担える業務の範囲や責任の違いを反映しています。
変化への対応力が見えない
長年同じやり方で業務をこなしてきた方の中には、新しいシステムや業務プロセスへの適応に不安を感じる方もいます。企業側は、経験者であっても「変化に対応できるか」を見ています。
コミュニケーション能力が軽視されている
経理は数字を扱う仕事だから、コミュニケーション能力は二の次——そう考えている方がいるかもしれません。しかし、他部門との連携、経営層への報告、監査法人とのやり取りなど、経理にもコミュニケーション能力は不可欠です。
面接で自分の経験をうまく説明できない、質問の意図を汲み取れないといったことがあると、実務能力とは別の理由で評価を下げてしまうことがあります。
企業が経理に本当に求めていること
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では、企業は経理採用で何を見ているのでしょうか。経験年数以外の評価ポイントを整理してみます。
業務の幅と深さのバランス
月次決算だけでなく年次決算、連結決算、税務申告など、どこまでの業務を経験しているか。また、その業務をどのレベルでこなせるか。「広く浅く」よりも「一定の幅を持ちつつ、得意領域がある」人材が評価される傾向にあります。
数字を読み解き、説明する力
経理の仕事は、数字を作ることで終わりではありません。その数字が何を意味するのか、経営にどう影響するのかを説明できる力が求められています。これは、経営企画やFP&Aへのキャリア展開にもつながるスキルです。
システムやツールへの適応力
ERPシステム、会計ソフト、BIツールなど、経理業務で使用するシステムは多様化しています。特定のシステムに習熟していることよりも、新しいツールへの適応力が重視される場面が増えています。
マネジメント経験またはその素養
管理職ポジションでなくても、後輩の指導やチーム内の業務調整といった経験は評価されます。40代の経理転職者の平均年収は、40代前半で約703万円、40代後半で約783万円と高水準ですが、これはマネジメント能力への期待も含まれています。
経理のキャリアを広げるために問い直すべきこと
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経理としてのキャリアを広げていくために、いくつかの問いを自分に投げかけてみてください。
「経験年数」ではなく「何ができるか」で語れるか
「経理経験○年」という言い方ではなく、「連結決算を主担当として3期担当した」「税務調査対応を経験した」といった具体的な業務内容で自分を説明できるでしょうか。採用担当者が知りたいのは、年数ではなく中身です。
現在の業務は市場価値を高めているか
今の業務を続けることで、自分の市場価値は上がっているでしょうか。同じ業務の繰り返しであれば、経験年数が増えても市場価値は変わらないかもしれません。経理職の平均年収は約529万〜541万円ですが、年代によって**456万円(20代後半)から796万円(50代以上)**まで幅があります。
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出典:日経転職版
この差は、単に年齢を重ねた結果ではなく、キャリアの中で何を積み上げてきたかの差です。
経理の「外」に目を向けているか
経理の知識やスキルは、経理部門の中だけで活きるものではありません。経営企画、FP&A、内部監査、CFOといったキャリアパスもあります。自分の可能性を経理の枠内に限定していないか、考えてみる価値があります。
なお、経理・財務求人の未経験OK割合は**約10.3%**と限られています。つまり、経理経験者には一定のアドバンテージがあるということです。その経験をどう活かすかが問われています。
出典:ジャスネットキャリア
まとめ
経理採用について、視点を整理します。
- 経理採用の現場では、定型業務の自動化と経営への関与という変化が起きている
- 経験豊富でも採用されないのは、**経験の「深さ」ではなく「長さ」**になっているから
- 企業が見ているのは、業務の幅と深さ、説明する力、適応力、マネジメント素養
- キャリアを広げるには、**「何年やったか」ではなく「何ができるか」**で自分を語れるようになること
経理の採用市場は活況ですが、その中で評価されるためには、経験年数という数字に頼らない自己分析が必要です。自分の経験を棚卸しし、何が強みで、何を伸ばすべきかを考えてみてください。
