M&A業界への転職を検討しているものの、職種の違いや年収の実態、未経験でも挑戦できるのかが見えず、一歩を踏み出せずにいませんか。M&A業界は「平均年収2,000万円超」といった華やかなイメージがある一方で、実際にどのようなスキルが求められ、どの職種を選ぶべきかは分かりにくいのが現状です。
しかし実際には、M&A市場は拡大を続けており、2024年の日本国内M&A件数は**4,700件(前年比約17%増)**と過去最多を記録しています。この市場拡大に伴い、M&A関連の求人も増加傾向にあり、未経験者へのポテンシャル採用も広がっています。この記事では、M&A業界の求人市場を正しく理解し、高年収キャリアを実現するための実践的な方法をお伝えします。
出典: コトラ「M&A市場記事」
M&A業界の求人市場と年収動向を把握する
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M&A業界の求人市場は、事業承継ニーズの高まりやクロスボーダー案件の増加を背景に拡大を続けています。中小企業庁に登録されているFA・仲介業者数は**2,841社(2025年2月時点)**に達しており、業界全体として人材需要が高まっています。
年収面では、M&A業界は国内でもトップクラスの水準を誇ります。特にM&A仲介会社は成果報酬型のインセンティブ制度を採用しているケースが多く、若手でも高年収を実現できる環境があります。上場大手4社の平均年収を見ると、その水準の高さが明確です。
会社名 | 平均年収 | 平均年齢 |
M&A総合研究所 | 約2,894万円 | 29.0歳 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 約2,277万円 | 32.2歳 |
ストライク | 約1,608万円 | 33.8歳 |
日本M&Aセンター | 約1,271万円 | 34.9歳 |
注目すべきは、平均年齢が20代後半〜30代前半という若さで、1,000万円を大きく超える年収が実現できている点です。これは成果に連動した報酬体系によるもので、案件を成約させればその分がダイレクトに収入に反映されます。
採用動向を見ると、20代は全プレイヤーで積極採用が行われており、30代前半までなら未経験歓迎のポジションも多い状況です。あるエージェントのデータでは、M&A業界への転職者のうち業界未経験者が95%以上を占めているという報告もあります。つまり、M&A業界は「経験者しか入れない閉じた業界」ではなく、適切な準備をすれば未経験からでも十分に挑戦できる領域です。
出典: career-view「未経験からM&A仲介へ」
出典: ヤマトヒューマンキャピタル「M&A業界転職まとめ」
職種別の求人特性と求められるスキルセット
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M&A業界と一口に言っても、M&A仲介、FAS(財務アドバイザリー)、投資銀行、PEファンドなど、複数の職種があり、それぞれビジネスモデルや年収体系、求められるスキルが異なります。
M&A仲介
M&A仲介は、売り手企業と買い手企業の双方を仲介し、マッチングから成約までを支援する職種です。中小企業の事業承継案件が中心で、年間数件〜10件程度の案件を担当します。
年収レンジは前述の通り1,200万円〜2,900万円と非常に高水準です。成果報酬型のため、案件を成約させるほど年収が上がる仕組みです。一方で、案件獲得のための営業活動(テレアポ、DM、紹介営業など)が業務の大きな割合を占めるため、法人営業経験が高く評価されます。
求められるスキルは、**経営者との折衝力、提案力、財務の基礎知識(簿記2級程度)**です。銀行・証券・商社・不動産・人材サービスなどで法人営業の実績がある方は、未経験でも採用されやすい傾向があります。
FAS(財務アドバイザリー)
FASは、M&Aにおける財務デューデリジェンス(DD)、バリュエーション(企業価値評価)、PMI(統合支援)などを担当する専門職です。Big4(デロイト、PwC、KPMG、EY)のFAS部門が代表的です。
推定では、年収レンジはアナリストで500〜900万円、シニアアナリストで900〜1,200万円、VPで1,200〜1,500万円、ディレクター以上で1,500万円以上となっています。M&A仲介と比較すると安定的な年収体系ですが、専門性の高さから長期的なキャリア形成がしやすい領域です。
出典: movin「M&Aの年収」
求められるスキルは、会計・財務の専門知識、財務分析力、Excelモデリング能力です。公認会計士、USCPA、税理士資格を持つ方が有利ですが、事業会社の経理・財務経験者や、監査法人出身者も多く採用されています。
PEファンド
PEファンドは、企業に投資し、経営改善を通じて企業価値を向上させた後にExitするビジネスモデルです。投資判断からバリューアップ、Exit戦略まで一貫して関与するため、経営に深く入り込む経験ができます。
推定では、年収レンジはアナリストで800〜1,100万円、アソシエイトで1,000〜1,200万円、VPで1,200〜1,500万円、ディレクターで1,500〜2,000万円、MDで2,000万円以上です。さらに、ファンドの運用成績に連動したキャリー(成功報酬)が加わるケースもあり、トップクラスのプレイヤーは数億円規模の報酬を得ることもあります。
求められるスキルは、投資銀行・FAS・戦略コンサルでの実務経験、財務モデリング能力、経営課題の分析力です。未経験からの転職はハードルが高く、まずはFASや投資銀行でキャリアを積んでからステップアップするのが一般的なルートです。
M&A業界への転職を成功させる3つの実践ステップ
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M&A業界への転職を成功させるには、業界特有の選考基準を理解し、戦略的に準備を進める必要があります。以下の3つのステップを確実に実行してください。
ステップ1. 評価される資格と経歴を整理する
M&A業界で評価される資格は、職種によって異なりますが、共通して高く評価されるのは以下の資格です。
- 簿記2級以上(必須レベル)
- 公認会計士 / USCPA(FAS・PEで特に評価)
- 税理士(事業承継案件で強み)
- 中小企業診断士(経営全般の知識証明)
- FP2級以上(資産・相続の知識)
出典: M&A JOB BOARD「M&A転職に有利な資格」
ただし、資格以上に重視されるのは実務経験です。特にM&A仲介では、法人向け新規営業で上位成績を収めた経験や、経営者クラスとの商談経験が高く評価されます。銀行のRM(リレーションシップマネージャー)、証券会社の法人営業、商社・不動産・人材サービスでの法人営業経験者は、未経験でもポテンシャル採用の対象となります。
職務経歴書では、営業実績を定量的に示すことが重要です。「新規開拓で年間○件の法人契約を獲得」「担当顧客の売上を○%向上」といった具体的な数値を盛り込んでください。
ステップ2. 志望職種と企業を明確にする
M&A業界は職種によってビジネスモデルや働き方が大きく異なります。自分のキャリアゴールに合った職種を選ぶことが、長期的な成功につながります。
高年収を最優先したい方
M&A仲介が最も年収の上振れが大きい職種です。成果報酬型のため、成約件数に応じて20代で2,000万円超も現実的です。ただし、営業活動が中心となるため、数字へのコミットメントと行動量が求められます。
専門性を高めたい方
FASでデューデリジェンスやバリュエーションの専門知識を身につけることで、将来的にPEファンドや事業会社のM&A部門へのキャリアパスが開けます。会計士・税理士資格を持つ方には特に適した選択肢です。
経営に深く関わりたい方
PEファンドは投資先企業の経営に入り込み、バリューアップを主導する経験ができます。ただし、未経験からの転職は難易度が高いため、まずはFASや投資銀行でキャリアを積むステップが現実的です。
ステップ3. 自分の志向を可視化し、最適な企業と出会う
M&A業界への転職では、企業ごとに文化や案件の特性、報酬体系が大きく異なります。表面的な年収データだけで判断すると、入社後にミスマッチが発覚するリスクがあります。
重要なのは、自分のキャリアの志向や強みを明確にし、それを企業側に正しく伝えることです。「営業力を活かして成果報酬で稼ぎたい」のか、「専門性を高めて長期的なキャリアを築きたい」のか、「将来的に独立やCFOを目指したい」のか。これらの志向が明確であれば、自分に合った企業を見つけやすくなります。
しかし、自分一人で業界の全体像を把握し、最適な企業を見つけるのは容易ではありません。特にM&A業界は非公開求人が多く、企業側も「本当に自社に合う人材か」を慎重に見極めています。
まとめ
M&A業界は、2024年の案件数が過去最多を記録するなど、市場拡大が続いており、求人も増加傾向にあります。年収面では、M&A仲介大手で平均1,200万円〜2,900万円、FASやPEファンドでも1,000万円超のキャリアが十分に実現可能です。未経験者の採用も活発で、法人営業経験や会計・財務の基礎知識があれば、挑戦の機会は広がっています。
重要なのは、自分のキャリアゴールに合った職種を選び、評価される経歴・資格を整理し、自分の志向を明確にして企業と出会うことです。M&A業界は企業ごとにカルチャーやビジネスモデルが異なるため、表面的な情報だけでなく、自分に本当に合った企業を見つけることが転職成功の鍵となります。
