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採用人事への転職、「人が好き」だけで務まる仕事なのか?見落としがちな適性を問う

採用人事への転職、「人が好き」だけで務まる仕事なのか?見落としがちな適性を問う

目次

「人が好きだから人事」という志望動機の落とし穴

採用人事への転職を考える人の中で、「人が好きだから」「人に関わる仕事がしたいから」という動機を挙げる方は少なくありません。確かに、人事という仕事は人と向き合う場面が多く、その動機自体は自然なものです。しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。「人が好き」という理由だけで、採用人事の仕事は本当に務まるのでしょうか。

採用人事の現場では、「好き」という感情だけでは対応しきれない場面が数多く存在します。たとえば、優秀だと感じた候補者を不採用にしなければならない判断、現場からの厳しい採用要件への対応、内定辞退が続いたときのプレッシャー。こうした状況に直面したとき、「人が好き」という動機だけで乗り越えられるでしょうか。

むしろ、採用人事には「人を見極める冷静さ」と「組織の成長に貢献するビジネス視点」が求められます。人への関心は入口として大切ですが、それだけでは不十分だという認識を持っているかどうかが、採用人事として長く活躍できるかどうかの分岐点になるかもしれません。


採用人事の仕事は「人を選ぶ」だけではない

採用人事と聞くと、「面接をして、人を選ぶ仕事」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。もちろん、面接や選考は採用人事の重要な業務の一つです。しかし、実際の仕事はそれだけにとどまりません。

採用人事の業務範囲は、想像以上に広いものです。

  • 採用計画の立案と経営層・現場との調整
  • 求人媒体の選定や採用ブランディングの設計
  • 応募者とのコミュニケーションや日程調整
  • 内定者フォローやオンボーディング支援
  • 採用データの分析と改善施策の立案

つまり、採用人事は「人を選ぶ」だけでなく、「人を集める」「人を惹きつける」「人を定着させる」というプロセス全体に関わる仕事なのです。

さらに、採用人事は社内外の多くのステークホルダーと関わります。経営層、現場のマネージャー、採用エージェント、候補者。それぞれの立場や期待値が異なる中で、調整役としての役割も担います。

「面接で人を見る」という一面だけを想像して採用人事を目指すと、入社後に「思っていた仕事と違う」というギャップを感じる可能性があります。業務の全体像を理解した上で、自分がその中でどこに価値を発揮できるかを考えることが大切ではないでしょうか。


未経験から採用人事を目指す人が問われる本当の資質

採用人事への転職を検討している方の中には、「未経験でも大丈夫だろうか」という不安を抱えている人も多いでしょう。確かに、人事経験者が優遇される傾向はあります。しかし、未経験だからといって可能性が閉ざされているわけではありません。

では、未経験者が採用人事で評価されるために必要なものは何でしょうか。それは、特定の資格やスキルよりも、仕事に対する「思考特性」である場合が少なくありません。

採用人事において重要な資質として、以下のようなものが挙げられます。

  • 相手の話を引き出し、本質を見抜く傾聴力
  • 複数の関係者の利害を調整する折衝力
  • 数字やデータに基づいて判断する論理性
  • 変化する状況に柔軟に対応する適応力
  • 会社の魅力を伝えるコミュニケーション力

これらの資質は、営業職やカスタマーサポート、プロジェクトマネジメントなど、異業種の経験からでも十分に培うことができます。自分のこれまでの経験を「採用人事でどう活かせるか」という視点で棚卸しすることが、未経験からの転職を成功させる鍵となるでしょう。

また、人事職の年収は企業規模や役割によって大きく異なります。MS-Japanの調査によると、30代の人事職の年収中央値は、中小未上場企業の非管理職で 495万円、大規模上場企業の非管理職で 575万円、管理職になると 750〜830万円 程度まで上昇するとされています。

出典:MS-Japan 人事求人の年収レポート 2025

キャリアを積み、専門性を高めることで待遇面でも成長できる職種であることは、転職を検討する上で知っておきたいポイントです。


採用人事としてキャリアを築く人が持っている視点とは

採用人事に転職できたとしても、そこで長く活躍できるかどうかは別の話です。では、この領域で継続的に成果を出し、キャリアを築いている人には、どのような共通点があるのでしょうか。

一つ言えるのは、彼らが採用を「作業」ではなく「経営課題の解決」として捉えているということです。

採用人事の仕事は、単に人を集めて選ぶことではありません。企業の成長戦略に基づき、必要な人材を定義し、その人材を獲得するための施策を設計・実行すること。これが採用人事の本質的な役割です。

この視点を持てるかどうかで、日々の業務への取り組み方は大きく変わります。たとえば、「なぜこのポジションを採用する必要があるのか」「この人材を採用することで組織はどう変わるのか」という問いを常に持てる人は、経営や現場からの信頼を得やすい傾向があります。

また、採用市場は常に変化しています。求職者の価値観の変化、採用手法のトレンド、競合他社の動向。こうした外部環境の変化に敏感であることも、長期的なキャリア形成には欠かせない要素です。

現在、転職市場全体の求人倍率は 1.91倍、ハイキャリア(年収700万円以上)求人に限ると 2.56倍 という高水準が報告されています。人事を含む「管理・企画・事務系」の求人割合も全体の約 41% を占めており、人事職への転職機会は決して少なくありません。

出典:パソナ 転職市場レポート(2025年)

しかし、求人があるからといって誰でも活躍できるわけではありません。「今の仕事をこなす」だけでなく、「採用という仕事を通じて何を実現したいのか」を常に意識できる人が、結果的にキャリアの選択肢を広げているのではないでしょうか。


まとめ

採用人事への転職は、「人が好き」という動機だけで成功するほど単純なものではありません。しかし、業務の全体像を理解し、自分の適性を見極めた上で臨めば、十分にチャンスのある領域です。

  • 「人が好き」は入口として大切だが、それだけでは不十分
  • 採用人事の仕事は「人を選ぶ」だけでなく、集める・惹きつける・定着させるプロセス全体に関わる
  • 未経験からの転職では、異業種で培った思考特性が評価されることがある
  • 長く活躍する人は、採用を「作業」ではなく「経営課題の解決」として捉えている

転職活動において大切なのは、「自分がなぜ採用人事を目指すのか」を深掘りすることです。その答えが明確であればあるほど、面接での説得力も増し、入社後のギャップも小さくなるでしょう。

記事監修者:渡辺 貴明

メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。メルセネール株式会社では事業責任者を務める。

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