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管理職採用で「経験」ばかり見ていないか?成功企業が重視する視点

管理職採用で「経験」ばかり見ていないか?成功企業が重視する視点

目次

「管理職経験○年以上」「部下○名以上のマネジメント経験」管理職採用の求人要件に、このような条件を並べていないでしょうか?

2025年1〜6月に中途採用した企業のうち、管理職を採用した企業は49.6%にのぼり、2021年の38.9%から10.7ポイント増加しています。管理職の中途採用は、もはや珍しいことではなくなっています。

出典:マイナビキャリアリサーチLab

しかし、管理職経験者を採用しても期待通りに活躍しない、早期に離職してしまうという声は後を絶ちません。管理職採用がうまくいかない原因は、本当に「候補者の質」の問題なのでしょうか。もしかすると、採用する側の「見極め方」に問題があるのかもしれません。

管理職採用が難航する企業に共通する思い込み

管理職採用に苦戦している企業には、いくつかの共通する思い込みがあります。

「経験があれば、すぐに活躍できる」という期待

管理職経験者であれば、入社後すぐにチームを率いて成果を出してくれる——そう期待していないでしょうか。しかし、どれだけ経験豊富な人材でも、新しい組織で成果を出すには時間がかかります。

組織の文化、意思決定のプロセス、部下との関係構築など、前職とは異なる環境に適応する必要があるからです。「経験者だから大丈夫」という思い込みが、適切なオンボーディングを怠る原因になっていることがあります。

「社内に適任者がいないから外部採用」という発想

人事担当者が感じる管理職の課題として、「将来的な管理職候補が育っていない」が23.0%、「社内にふさわしい人材が少ない・いない」が**18.8%**という調査結果があります。

出典:マンパワーグループ

しかし、本当に社内に適任者がいないのでしょうか。それとも、適任者を見出す仕組みがないだけなのでしょうか。外部採用に頼る前に、社内人材の可能性を見直す視点も必要です。

「条件を上げれば良い人材が採れる」という誤解

年収を上げれば、より優秀な管理職候補が集まる——この考えは部分的には正しいかもしれません。しかし、条件面だけで入社を決めた人材が、長く定着するとは限りません。むしろ、より良い条件を提示する企業が現れれば、すぐに転職してしまうリスクがあります。

なぜ「管理職経験者」を採用してもうまくいかないのか

管理職経験者を採用したのに、期待した成果が出ない。こうした状況は、決して珍しくありません。

管理職として転職した人のうち、「転職で後悔・失敗した経験がある」と回答した人は55%にのぼります。その理由として、「組織の風土・文化が合わない」が30%、「やりたい仕事ができない」が23%、「上司との人間関係」が**22%**と報告されています。

出典:日経転職版

これらのデータは何を示しているのでしょうか。

「経験」と「適応力」は別物である

前職で成果を出した管理職が、新しい環境でも同じように成果を出せるとは限りません。前職での成功は、その組織の文化やリソース、部下との関係性があってこそ実現したものです。環境が変われば、同じやり方が通用しないこともあります。

マネジメントスタイルの不一致が起きている

トップダウン型の組織で育った管理職が、ボトムアップ型の組織に入ると馴染めないことがあります。逆もまた然りです。管理職経験の「有無」だけでなく、どのようなマネジメントスタイルで成果を出してきたのかを確認しないと、入社後のミスマッチにつながります。

期待値のすり合わせが不十分である

直近3年で「半年以内の早期離職」があった企業は57%、その要因として「仕事内容のミスマッチ」が**57%**で最多となっています。

出典:人材ニュース

管理職ポジションであっても、入社前と入社後で期待される役割にギャップがあれば、早期離職につながります。選考段階での情報提供と期待値のすり合わせが不十分なことが、ミスマッチの原因になっています。

管理職採用で本当に見極めるべきポイント

では、管理職採用で何を見極めるべきなのでしょうか。経験やスキル以外に、重視すべきポイントがあります。

自社の組織文化に適応できるか

面接で企業が重視するポイントとして、「専門職種の知識・経験」が76%、「人柄」が36%、「マネジメント能力」が**34%**という調査結果があります。

出典:エン・ジャパン

知識・経験が重視されるのは当然ですが、「人柄」が2位に入っている点は注目に値します。管理職は組織の中核を担う存在であり、組織文化との相性は成果に直結します。

前職でどのような組織文化の中で働いてきたのか、自社の文化との共通点や違いをどう捉えているのか。この点を掘り下げることで、入社後の適応可能性が見えてきます。

変化を起こせる人材か、現状を維持する人材か

管理職に期待する役割は企業によって異なります。組織変革を推進してほしいのか、現在のチームを安定的に運営してほしいのか。求める役割によって、適した人材像は変わります。

変革を期待するなら、過去に組織や業務を変えた経験があるか、抵抗勢力とどう向き合ったかを確認する必要があります。安定運営を期待するなら、既存のチームをまとめ、メンバーの力を引き出した経験が重要になります。

候補者自身のキャリア志向を把握しているか

管理職を中途採用した理由として、「マネジメント経験が豊富な人材を求めた」が33.0%、「管理職層の多様性を高める」が**32.0%**となっています。

出典:マイナビキャリアリサーチLab

企業側の採用理由は明確でも、候補者側のキャリア志向を把握できているでしょうか。なぜ管理職として転職したいのか、どのような組織で働きたいのか。候補者の志向と自社のポジションが合致しているかを確認することが、定着率向上につながります。

管理職採用を成功させる採用プロセスの設計

管理職採用を成功させるために、採用プロセスの設計を見直してみましょう。

求める人材像を具体化する

「管理職経験3年以上」といった表面的な条件ではなく、入社後に期待する役割、達成してほしい成果、必要な行動特性を具体的に言語化しましょう。これにより、選考での見極めポイントが明確になり、候補者との期待値のすり合わせもしやすくなります。

複数の視点で評価する

管理職採用では、人事だけでなく、配属先の上司、同僚となる管理職、場合によっては部下候補も選考に関わることが効果的です。複数の視点で評価することで、スキルだけでなく、組織への適合性も確認できます。

選考プロセスで情報を開示する

「リーダー人材(管理職相当以上)の不足」を実感している企業は**67.8%**にのぼります。

出典:帝国データバンク

人材不足の中、優秀な管理職候補を採用するには、自社の魅力を伝えると同時に、課題や期待する役割も正直に開示することが重要です。良い面だけを伝えて入社させても、入社後にギャップが生じれば早期離職につながります。

入社後のオンボーディングを設計する

管理職だからといって、入社後すぐに成果を求めるのは現実的ではありません。最初の90日間で何を達成してほしいのか、どのようなサポートを提供するのかを事前に設計しておきましょう。特に、キーパーソンとの関係構築、組織文化の理解、期待値の再確認は、管理職の立ち上がりに不可欠な要素です。

まとめ

管理職採用について、視点を整理します。

  • 管理職採用が難航するのは、「経験があれば活躍できる」という思い込みがあるから
  • 経験者を採用してもうまくいかないのは、経験と適応力は別物であり、マネジメントスタイルや期待値の不一致が起きているから
  • 見極めるべきは、組織文化への適応力、期待する役割との合致、候補者のキャリア志向
  • 成功するには、人材像の具体化、複数視点での評価、情報開示、オンボーディング設計が必要

管理職採用の成功は、「良い候補者を見つける」ことだけでは実現しません。自社に合う人材を見極め、入社後に活躍できる環境を整えることが求められます。

候補者の志向や選考状況を可視化することは、採用の精度を高めるうえで有効な手段です。

記事監修者:渡辺 貴明

メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。メルセネール株式会社では事業責任者を務める。

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