「このまま今の会社で経理を続けていて、キャリアは広がるのだろうか」——そんな漠然とした不安を抱えている方は少なくないのではないでしょうか。
経理職は企業の数字を支える重要なポジションでありながら、自分自身のキャリアについては後回しにしがちな方が多いように感じます。MS-Japanの調査によると、経理職のキャリア調査で**「経理以外の職種経験がある」と回答した人は86.1%**に達しており、多くの経理パーソンが何らかの形でキャリアチェンジを経験しています。
出典:MS-Japan
経理を取り巻く環境は変化しています。今こそ、自分の市場価値とキャリアの選択肢を見つめ直す時期かもしれません。
経理職の転職市場|今、企業が求めるスキルと人材像
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経理職の転職市場は、現在どのような状況にあるのでしょうか。
MS-Japanの市場動向レポートによると、経理・財務の求人倍率は2021年以降右肩上がりで推移し、2024年時点で**1倍超の「売り手市場」**が続いています。dodaのマーケットレポートでも、2025年下半期も経理の求人数は増加傾向と予測されており、「体制強化」「法令対応」「内部統制」などを背景にニーズが高まっています。
ただし、すべての経理経験者に門戸が開かれているわけではありません。同レポートでは、経理・財務の転職決定者のうち約70%が経験者、30%が未経験者と報告されており、経験者の決定者数は未経験者の倍以上です。つまり、経験者にとっては有利な市場である一方、どのような経験を積んできたかが問われる状況でもあります。
企業が求める人材像も変化しています。経理パーソンへのアンケートでは、「より伸ばしたいスキル」として**61.8%が「財務・税務・会計の知識」**を選択。次いで「PCソフト/ITツールの知識・スキル」「経理処理のスピード・正確性」「経営陣や他部署との折衝力」などが30%台で続いています。従来の仕訳入力や月次決算だけでなく、経営判断を支える分析力やコミュニケーション力が求められる時代になっています。
経理経験を活かせる転職先5選とそれぞれの特徴
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経理経験者の転職先はどこが多いのでしょうか。MS-Japanの管理部門転職成功者レポートによると、20代の決定職種の47.9%が「経理・財務」、30代では37.1%、40代では**41.3%**と、いずれの年代でも経理・財務が最大のボリュームゾーンを占めています。
出典:MS-Japan(20代)、MS-Japan(30代)、MS-Japan(40代)
経理経験を活かせる主な転職先を見ていきましょう。
1. 同業種・異業種の経理職 最も多いのは、やはり経理職への転職です。同じ経理でも、企業規模や業界が変われば業務内容は大きく異なります。上場企業では連結決算や開示業務、スタートアップでは経理体制の構築から携われる機会が多いなど、キャリアの幅を広げる選択肢があります。
2. 財務・経営企画 経理で培った数字への理解は、財務や経営企画でも活かせます。資金調達や予算管理、経営分析といった上流業務へのキャリアアップを目指す方に向いています。
3. 会計コンサルタント・FAS 事業会社での実務経験を武器に、コンサルティングファームへ転身するケースも増えています。M&AアドバイザリーやIPO支援など、専門性を活かした仕事に挑戦できます。
4. 監査法人・会計事務所 会計事務所出身者の転職実績分析では、転職先職種の1位が**「経理(非上場)12.6%」、2位が「経理(上場)8.1%」**となっており、逆に事業会社の経理から会計事務所へ移るキャリアパスも存在します。
5. 管理部門のゼネラリスト 経理を軸にしながら、総務や人事などの管理部門全般を担うポジションも選択肢です。特に中小企業やスタートアップでは、バックオフィス全体を見渡せる人材が重宝されます。
経理転職で年収アップを実現するための3つのポイント
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経理職の年収は、経験年数や企業規模によって大きな幅があります。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基にしたMS-Japanの分析では、経理職の平均年収は約509万円とされています。一方、ジャスネットキャリアの求人分析では、経験年数別に以下のようなレンジが示されています。
経験年数 | 想定年収レンジ |
未経験 | 約320〜380万円 |
2〜3年 | 約400〜480万円 |
3〜10年 | 約450万円後半〜700万円 |
10年以上(管理職) | 600万円以上 |
企業規模による差も顕著です。従業員10人以上の企業では男性の平均給与が**月38万6,400円(年約464万円)ですが、従業員1,000人以上になると月43万3,800円(年約521万円)**まで上昇します。
出典:ジャスネットキャリア
年収アップを実現するためのポイントは3つあります。
専門領域の深化が第一です。月次決算だけでなく、連結決算、税務申告、管理会計など、担当領域を広げることで市場価値は高まります。
マネジメント経験の獲得も重要です。経理チームのリーダーや部門長としての経験は、年収アップに直結しやすい要素です。
成長企業・成長業界への移動も有効な選択肢です。IPO準備企業やグローバル展開を進める企業では、経理人材への投資が活発な傾向にあります。
経理のキャリアで差がつく|選ばれる人材になるための準備
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転職を成功させている経理経験者には、いくつかの共通点があります。
まず、転職成功率の目安を理解していることです。ある調査では、経理経験者の転職成功率について、20代(未経験〜3年未満)は50%以上、30代(3年以上)は60%以上、40代以上(決算・マネジメント経験あり)は40%以上という目安が示されています。年代によって求められる経験や難易度が異なることを理解した上で準備を進めることが大切です。
出典:CLUE CAREER
次に、資格取得を戦略的に行っていることです。未経験から経理へ転職した成功者の保有資格調査では、「日商簿記2級」保有者が44%で最多でした。経験者であっても、簿記2級や1級、さらには税理士科目や公認会計士といった上位資格は、市場価値を高める武器になります。
そして、自分のスキルを言語化できていることです。「経理をやっていました」ではなく、「月次決算を3営業日で締め、管理会計レポートを経営会議に提出していました」のように、具体的な業務内容と成果を伝えられる準備が必要です。
経理職に求められるスキルとして、会計ソフト操作、Excel(関数・ピボット・マクロなど)、税務・会計知識、業務改善提案力などが挙げられています。これらのスキルを棚卸しし、アピールポイントを整理しておくことが転職成功への近道です。
出典:warc agent
まとめ
経理職の転職市場は売り手市場が続いており、経験者にとってはチャンスの多い環境です。しかし、企業が求める人材像は変化しており、従来の実務経験だけでなく、経営視点での分析力やITスキルへのニーズが高まっています。
年収アップを実現するには、専門領域の深化、マネジメント経験の獲得、成長企業への移動がポイントになります。そして何より、自分のスキルを言語化し、キャリアの方向性を明確にする準備が欠かせません。
転職は情報戦です。自分一人では見えない選択肢や、客観的な市場価値を把握することが、納得のいくキャリア選択につながるのではないでしょうか。
