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面接での給料交渉、なぜ多くの人が「言い出せない」のか?その思い込みを疑う

面接での給料交渉、なぜ多くの人が「言い出せない」のか?その思い込みを疑う

目次

給料交渉を「タブー」だと感じていないか?

転職面接において、給料の話を切り出すことに躊躇する人は少なくありません。「お金の話をすると印象が悪くなるのでは」「がめついと思われたくない」——こうした心理が、交渉の機会を自ら閉ざしてしまっているケースは多いのではないでしょうか。

しかし、ここで一つ問い直してみてください。給料交渉は本当に「タブー」なのでしょうか。

マイナビ転職の調査によると、転職時に年収交渉を行った人の割合は 55.9% に達しています。つまり、半数以上の転職者が何らかの形で年収について交渉しているのです。

出典:マイナビ転職「転職による年収アップの実態調査」(2024年10月発表)

この数字を見ると、交渉することが特別なことではないと分かります。むしろ、交渉しないことで得られたはずの年収を逃している可能性すらあるのです。

日本では「お金の話は品がない」という価値観が根強く残っています。しかし、転職という場面においては、自分の市場価値を正当に評価してもらうための対話は、むしろビジネスパーソンとして当然の姿勢とも言えるのではないでしょうか。


企業が提示する年収は「最終回答」ではない

内定時に提示された年収を見て、「これが決定事項だ」と受け止めていないでしょうか。実は、多くの場合、最初のオファーには交渉の余地が残されています。

企業側も、候補者が交渉してくる可能性を織り込んで年収を提示していることが少なくありません。特にハイキャリア層の採用では、候補者のスキルや経験に応じて柔軟に対応する姿勢を持っている企業は多いものです。

では、交渉した場合の成功率はどの程度なのでしょうか。同じくマイナビ転職の調査では、年収交渉を行った人のうち 85.2% が年収アップに成功したと報告されています。

出典:マイナビ転職「転職による年収アップの実態調査」(2024年10月発表)

この数字は、交渉すれば高確率で何らかの成果が得られることを示しています。もちろん、すべてのケースで希望通りの金額になるわけではありませんが、「言ってみなければ始まらない」という側面があることは確かです。

また、年収アップの金額についても見てみましょう。dodaの調査によると、転職で年収アップした人の平均アップ額は 約90万円 とされています。さらに、マイナビ転職の調査では30代で100万円以上アップした人が 約5人に1人(18.0%) 存在し、30代の平均アップ額は 約138.7万円 という結果も出ています。

出典:doda「年収アップ転職者の平均アップ額調査」(2024年7月)

これらの数字を「交渉しなくても得られた金額」と捉えるか、「交渉したからこそ得られた金額」と捉えるかで、転職に対する姿勢は大きく変わってくるはずです。


交渉で印象が悪くなる人と、評価が上がる人の違い

「交渉すると印象が悪くなる」という不安は根強いものです。では、実際に印象を損ねてしまう交渉と、むしろ評価が上がる交渉の違いはどこにあるのでしょうか。

印象が悪くなるケースには、いくつかの共通点があります。

  • 根拠なく「もっと欲しい」と主張する
  • 他社のオファーを盾にして圧力をかける
  • 入社前から待遇面ばかりを気にしている印象を与える
  • タイミングを無視して早い段階でお金の話を持ち出す

一方で、評価が上がる交渉には別の特徴があります。

  • 自分のスキルや経験に基づいた論理的な説明がある
  • 市場相場を踏まえた現実的な希望額を提示する
  • 入社後の貢献意欲とセットで伝える
  • 適切なタイミング(内定後・オファー面談時)で切り出す

つまり、交渉の「内容」と「伝え方」次第で、企業が受ける印象はまったく異なるのです。

むしろ、根拠を持って自分の価値を主張できる人は、「交渉力がある」「自己認識が明確」といったポジティブな評価につながることもあります。特に管理職や経営幹部候補の採用では、こうした姿勢はむしろ好意的に受け止められる傾向があります。

重要なのは、交渉を「対立」ではなく「対話」として捉えることです。企業と候補者が互いに納得できる着地点を探るプロセスだと考えれば、必要以上に身構える必要はないのではないでしょうか。


交渉の前に問うべき「自分の市場価値」という視点

給料交渉を成功させるために、テクニックや話術を磨こうとする人は多いかもしれません。しかし、それ以前に問うべきことがあります。「自分の市場価値を正確に把握しているか」という点です。

マイナビ転職の調査によると、転職後に年収が上がった人の割合は全体で 39.4% であり、特に30代男性では 49.5%、40代男性では 47.9% と高い水準を示しています。

出典:マイナビ転職「転職動向調査2025年版(2024年実績)」

この数字が示すのは、年齢や経験によって年収アップの可能性が異なるということです。つまり、自分がどの層に属し、市場でどの程度の評価を受けられるのかを理解しておくことが、交渉の前提となります。

市場価値を把握するためには、以下のような視点が参考になります。

  • 同業界・同職種の年収相場はどの程度か
  • 自分のスキルや経験は、市場でどの程度希少性があるか
  • 今の年収は市場相場と比較して妥当か、それとも乖離があるか

これらを客観的に分析できていれば、交渉時にも根拠を持って話すことができます。逆に、相場観がないまま「とりあえず高く」と主張しても、説得力に欠けてしまうでしょう。

自分の市場価値を知ることは、交渉のためだけではなく、キャリア全体の方向性を考える上でも重要な視点です。転職活動を通じて、自分が市場からどう評価されているのかを確認することは、たとえ転職しなかったとしても価値ある経験になるはずです。


まとめ

面接での給料交渉は、決してタブーではありません。むしろ、自分の価値を正当に評価してもらうための重要なプロセスです。

  • 転職者の半数以上が年収交渉を行っており、その成功率は高い
  • 企業の提示額は「最終回答」ではなく、交渉の余地があることが多い
  • 印象を損ねるかどうかは、交渉の内容と伝え方次第
  • 交渉の前提として、自分の市場価値を客観的に把握することが重要

給料交渉に踏み出せない理由の多くは、「印象が悪くなるかもしれない」という思い込みに過ぎません。適切な準備と伝え方ができれば、交渉はキャリアアップの有効な手段となります。

記事監修者:渡辺 貴明

メルセネール株式会社取締役。東京工業大学工学部卒業。大学卒業後、独立系コンサルティングファームにて製造業のクライアントを中心に業務改革支援に従事。その後、アビームコンサルティング株式会社の戦略部門に転じ、経営戦略・事業戦略策定やM&A、新規事業開発、組織/人材開発に従事。メルセネール株式会社では事業責任者を務める。

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